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2025/01/01 12:00


あけましておめでとうございます。
2025年も島の装い。をどうぞよろしくお願いします。



今年の初日の出は名護市大浦湾にある瀬嵩の浜で。
水平線に雲があって、遅めの日の出でしたが、未明から待っている少年たちにキュンとしたり、徐々に人が増えていくのを観察したり。
初日の出とか関係なく、地元に住んでて毎朝犬と散歩してるんだろうなーっていう姿が微笑ましかったり。
近くにある瀬嵩御宮という、小さな御嶽のような神社にもお参りできて、良い元旦の朝となりました。

去年の年明け一発目のインスタ投稿も自分で、元旦に能登半島地震が起こり、いろんな思いと感情に逡巡し他のメンバーとも相談して、営みを続けていくことを大切にしようという思いを共有しての投稿をしました。

あれから一年。
去年から始めた”しまよそコラム”は毎週水曜日更新で、2025年最初の水曜はまさに元日の今日。
このタイミングで能登の現状に思いを向けることは大事なんじゃないかなと思い、この文章を書いています。

先日、那覇にあるあおみどりの木( @aomidorinoki )で画家・作家である瀬尾夏美さん( @natseo )による「沖縄で能登の話をしよう」というお話し会があり、そちらに参加。
震災後から何度も能登に入ってボランティア活動や発信を続けている瀬尾さんから聞いたのは、圧倒的な復旧活動の遅れ。さらには9月にあった大雨による二重被災の悲惨な現状。

発災当時にSNSなどで「ボランティアは来るな」という言説が流布されたことによる初動の遅れと、その後の受け入れ体制の不備によるマンパワー不足は現在も深刻とのこと。“思いを持って動く”ということを否定・非難することの恐ろしさを痛感。

そんな中で瀬尾さんがおっしゃっていて印象的だったのが「ただ被災した方々のお話を聞くだけでもいい。隣で一緒にいるだけでもいい。」といった意図の言葉たち。

「自分にはなにもできない」とかじゃなくて、寄り添うだけでもしかしたら誰かの助けになるのかもしれない。その上で、人手が必要な作業はすごいボリュームなのだから、やっぱり”人が行く”というのは、とても大切なことなんだと感じた。

一言で能登半島といっても、大小様々な集落があって暮らしや地形もそれぞれで、被災の大きさや内容も違い、小さくて発信が上手くない、見つけづらいところほど復旧は進んでいないということ。
実際に現地で撮られた写真を見せてもらうと、もう全く手付かずの状況の場所も多く、愕然とした。
未だに地滑りにより分断されている道路があったり、瓦礫の撤去や建物の解体は進んでいないところも多く、行政や業者を待っている状態。
地震で液状化し歪んだ道路もそのままでインフラの整備もままならず、その地区に住む方々の下水が直せないため、道路に500メートルおきに仮説トイレを置いているそう。住民の多くは高齢者。あまりにも雑な対応だと感じてしまう。
大雨で建物に流れ込んだ倒木や泥を出す作業も、人手が足りずに間に合っていないそう。はやく済ませないとカビてその建物はダメになってしまうらしい。

そんな中でも、瀬尾さんが言った「とても光の美しいところ」という言葉も印象に残って。
そこに住む人たちの思いを代弁してくれているようで。



上の写真は瀬尾さんからいただいた能登の現在。12/5前後に撮影とのこと。

東日本大震災や阪神淡路大震災などの過去の震災と比べても、あまりにも進んでいない印象の復旧作業。

というのも、2011年の3月11日に東日本大震災が起こったその約1年後、2012年のゴールデンウィークに仙台市で数日間ボランティアをしたことがあって。ボランティアはツアーのようにちゃんと案内があって、ただひたすら被災した住宅などから瓦礫を出す作業だったけれど統率が取れていて、なんなら仙台市の中心部は活気すら感じた。

そのあと仙台市から二日をかけて北は石巻市、南は福島の浪江町までをレンタカーを借りて海岸沿いを走り、被災地を実際に目の当たりにして。
もちろん被害がひどくて手がつけられてなかったり、放棄されてしまった場所もあったけれど、瓦礫は概ね整理されていたし、復旧に向けての道筋が見えていたように感じただけに、同じ発災から一年経った今回の能登の現状を見聞きすると、いますぐ現地に行けない自分が、本当に歯がゆい。

以下の写真は2012年に行った東北の写真。







でも、瀬尾さんが何度も「もっとたくさんの人が、自分の言葉で語ってほしい。」とおっしゃっていて、その通りだと思った。
能登のこと、もっとたくさんの言葉で語られないといけないと思う。
思い出して、知って、語りあう。
そしておかしいなと思うことに声をあげる。
それがどこでもできるのが現代の良いところだと思うから。

お正月のめでたい空気とはちょっと違うかもしれないけれど、家族や親戚が集まる、震災から一年経つこのタイミングにこそ、いろんな立場の人が能登ことを思い出して、語ってほしい。

能登のことだけじゃなく、ガザやウクライナで起こってしまっていることや、この沖縄で起こっている理不尽なこともそう。
社会的なことや政治的なことが、もっとカジュアルに話題にできる2025年になるといいですよね。
もちろんツラいことだけじゃなくて、素敵なものづくりや楽しいイベントにも同じように目を向けて、視野を広く楽しく暮らしていけたらいいですよね。

島の装い。も、これまで”沖縄のものづくり”という軸で活動してきましたが、その軸はブラさずに視野を広げていけたらいいなーなんて考えていますよ。新しい展開にもぜひご期待ください。

そして最後に、今年の1/17で阪神淡路大震災から30年が経ちます。

その日1/17限定で『その街のこども 劇場版』という映画が桜坂劇場で上映されます。



被災した人々のその後、それでも人生は続いていて、忘れられるものでもないけど、忘れていくことも救いなったりもする。知らない誰かでも隣にいてくれることが、心の支えになることもある。

そんなことを感じさせてくれる自分にとっての大切な映画で、いまでもこの日が来ると見返す映画が映画館でかかるというありがたい機会ですので、いろんな人に観て、思ってほしいほしい作品です。ぜひ。


text:シオヒラ