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2025/06/11 12:00



日の長さを感じる6月。閉店時間が近づいてもあたりは真っ昼間のように明るくて、お店にはとんでもない角度で西陽が差し込む。落ち着きはじめた空気に反射するように、全体が温かな色の光で照らされている18時半のお店の中を見渡しながら、それぞれのお客さんと会話したひと時を思い出す。




外出から戻ると聴き馴染みのある声がバックヤードの扉越しに聴こえる。顔をのぞかせると「あら!お久しぶりね。」と真っ先に気がついてくれたお客さんとは、いつもお買い物のあとにドリンクと焼菓子1つを買い、カウンターを挟んでおしゃべりをする。最近の面白い発見や学びを聞かせてもらうのが私の楽しみ。時にちょっぴり真面目に、時に大笑いしながら、ランランな表情で話す姿が浮かんできて、思わず気持ちも顔もほころぶ。

お店の窓から“2ヶ月ぶり”なご夫婦が歩いてくるのが見えた。沖縄旅行の度に訪ねてきてくれるおふたりとは、沖縄が味わえるイベントやごはん屋さんなんかの情報を必ず交換しあう。到着した空港からその足で来てくれたり、反対に帰りに立ち寄ってくれたり、旅行行程の中にSTOREをいつもいれてくれていて、顔を見る度に嬉しい気持ちになる。別れの挨拶は決まって「また2ヶ月後に!」。

「んん~どうしよう~。」とキッチンとレジの前を行き来するお客さん。先週味わったパンとお菓子の感動をシェアしたり、私の気になっている“推し”を聞きながら悩むのは、旦那さんと子供たちが喜ぶものと、こっそり自分が楽しむもの。味が間違いないのはいつものことだから、食べすぎないようにだけ注意して選んで、「ありがとう~!また来週も~!」と嬉しそうに帰ってくれる。そして来週の私のタスクに“推しを探す”が加わるまでがルーティン。

「あ、おつかれさまです!」お客さんなのにそう挨拶してしまうのは、いつもお昼にお世話になっているお向かいのおそば屋さんの方だから。お互いがお互いのお店を訪ねる時は仕事中だったりするから、自然と短めの会話になってしまってるけれど、お客さんとしての他愛ない会話も、ご近所のお店同士として会話も個人的に嬉しい。今日も窓から様子をのぞいて、また「三枚肉そば(小)」を食べにいこうと決める。



大きく変わらない空間を毎日見ているけれど、その所々にそれぞれのお客さんとの風景が私の中にはたくさんあって。人が多くを経験して成長するみたいに、お店もお客さんとの風景が増えれば増えるほど育っていくように思う。楽しんだり、憩ったり、発見があったり、そんなお客さんとの風景が花咲くように生まれるお店にしていきたい。

text:コミネ