2025/07/13 18:00

読み進めながらこの本から何をどのように学ぶべきか、このコラムでどこまでをどのように書くべきか、正直すごく迷いました。でも、“戦争”は沖縄にとって考えるべき大事な部分のひとつ。そして皆さんにも「こんなことがあったんだ。」と、ちょこっとでいいから知っていてほしい。この本には、当時の事実をたくさんの参考文献をもとに、冷静に丁寧に丹念に調べ分析されたことが書かれています。内容のほとんどを書ききれないですが、この本を読んで考えたことを素直に書いてみようと思います。
本のタイトルにある「“集団自決”」は沖縄各地で起きた強制集団死のことです。当時は「玉砕」という言葉で、軍人だけでなく民間人も多くが自死を“強制”されました。それは主に防諜のため。軍人であっても民間人であっても敵に捕まっては困る、そのためだけに、教育やメディア、弾圧、あらゆる方法で「玉砕」という思想を植え付けられ、人々は死に追いやられました。
渡嘉敷島も周りと遮断された小さな島であるがゆえにその思想が深刻で、アメリカ軍が上陸しいよいよという時、配られた手榴弾で“集団自決”がはじまりました。祖父母と叔母は手榴弾が不発だったことで助かり、周りが鎌やカミソリを持ち出して大切な人たちに手をかけはじめるなか、子供だった叔母の「死にたくない」という叫びで逃げ生き延びました。「玉砕」の軍令があったのか無かったのかに関わらず、その思想を植え付けられていた人々にとって、それを選ばざるを得なかったのです。
「玉砕」という思想の背景のひとつには、戦争が始まる前から、沖縄だけでなく国による理不尽な取り締まりや弾圧で発言を許されなかったことがあります。国の指導者たちにそういう選択をさせなければ、多くが死を選ばずにすんだかもしれない。その責任を「強制したのではなく自ら死ぬことを選んだ」ということにしようとした国には憤りを覚えるけれど、ただ怒るのでなく、私もできる選択や発言をしていくべきだと、この本を読んでいて思いました。
当時は理不尽に許されなかった人々が発言する権利。今はその権利も、自由も、発信できる場所もちゃんとある。集団で声をあげないといけないわけじゃないし、人生や身を削るような活動をしないといけないわけじゃない。戦争が起きないようにもそうだけれど、ここ沖縄でより豊かに暮らしていくために、まずは持てる権利でできる意思表示をすることが大切だと思います。
今まさにできることは「選挙にいって一票を投じること」。それが自分が持てる責任で、発言できる1番近い手段だと考えています。期日前投票も始まっていますね。今回も投票へ行って意思表示をしようと思います。
text:コミネ
