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2025/11/30 18:00


雨降る伊江島。撮影のためお邪魔したのは金城和樹さんが営む宿「casa VIENTO」。併設しているギャラリーには「島の装い。STORE」での個展のためにつくりためた器が所狭しと並んでいました。

2年に1回の個展に、普段お店にも卸してくださっている金城さんの器は、私たちにとっても馴染みあるものなのだけれど、単純に新しいデザインというだけでなく間違いなく“進化”をとげていて。それはいったいどこからくるものなのだろうか?

いわゆる“下積み時代”が僕にはない。

陶芸をして暮らすつくり手の多くが窯元などで何年も見習いや修行をする下積み時代という土台があるなか、そういう時代に県外でバリバリにデザインの仕事をしていた経験があったり、島で写真館や宿を営んでいたり。一見、陶芸とはつながりあわないような経験が、今の器づくりの土台になっているのだと金城さんは教えてくれました。

金城さんがもっている土台はきっと、追求した技術だとか養われた知識だとかというよりも、形のちがう様々な経験が重なりあうことで培われた美学や哲学といった“らしさ”なのかもしれない。“進化”を感じたのは、わかりやすく新しい何かにチャレンジしたり、方向性を変えたりということではなく、より“深化”をとげた“金城さんらしさ”が器づくりのあらゆる瞬間に自然と反映されたものだったのだと思います。

ずっと金城さんの器が好きなのも、器ひとつひとつがもつ“姿”、作るたびに更新される見た目にも興味深い面白さがあるのはもちろんなのですが、やっぱり金城さんが日々培っている美学や哲学を感じていられるからかもしれないと、あらためて。

そんなことを思いながら、今回もちゃっかりスープカップとフリーカップをお迎えしました。あったかいスープもいいし、おひとり様おでんとか、なんちゃってグラタンとかもいいな。今のところ食べることしか頭にないけれど、使う風景を楽しみに金城さんの器と暮らしたいなと思います。

それはそうと、金城さんの個展も明日12/1(月)が最終日。お昼あとに金城さんも在廊予定ですのでぜひ遊びにきてくださいね。

text:コミネ